キャッシングのツボ

第52回 家族のキャッシング(1)

ジロウさんは、40歳の会社員。
先月、一人暮らしをしていた父親が急病で倒れ、数日の入院の後亡くなってしまいました。

ジロウさんにとって、お父さんが突然亡くなってしまったことはとてもショックでつらいことでした。しかし、それ以上にショックだったのは、お父さんの死後、お父さんの借金が発覚したことでした。

お父さんは、それほど暮らしに余裕がある様子ではなかったので、相続財産についてはもともとあてにしていませんでした。それでも、お父さんは生前、ジロウさんの子ども達におもちゃを買ってくれたり、遊園地に連れて行ってくれたりしていたので、何とかやっているものと思っていました。まさかそうした費用を出すために、お金を借りていたなんて・・・。

最初に借りたのは数万円だったようですが、誰にも相談できないでいたお父さんはそのまま返済が滞り、ジロウさんが気がついたときには、借金は数十万円に達していました。

責任感が強いジロウさんですが、奥さまと子どもふたりを養い、住宅ローンも抱える身では、お父さんの借金を肩代わりする余裕はありません。だからといって、借金を無視したために、取り立てが自宅に来ても困ってしまいます。いったいどうしたらいいのでしょうか?

ひとりで悩んでも答えが見つからないので、ジロウさんは弁護士会が開催する無料相談会へいってみました。

法律上では、親子といえども、保証人や連帯保証人になっていない以上、ジロウさんにはお父さんの借金を返済する義務はないとのこと。万が一、自宅に取立てが来ても、毅然とした態度でいるようにといわれました。

また、お父さんが亡くなったことを知ってから(もしくは借金があることを知ってから)3ヵ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の手続きをすれば、借金を受け継ぐこともなくなるので、早く家庭裁判所に相談に行くように、とアドバイスを受けました。

一時はどうなることかと不安でいっぱいだったジロウさんですが、ほっと一安心。
やさしくて子煩悩だったお父さんを懐かしく思い出すのでした。

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